輸入車の維持費はなぜ高いの??
流通台数の差による部品代、設計思想の違い、予防整備と保証
部品代の違い
一番違いが出るのは、部品代の差です。
日本車の部品はほとんどが日本国内で製造されているのと同じように、例えばドイツ車はドイツ製の部品が多く使われています。
輸入車が増えてきたとはいえ、国内販売台数は全体で9%程度しかありません。
国内で大量に生産されている部品と、海外からわざわざ輸入しなければならない専用部品とでは、当然価格差が大きくなります。
例えばオイルエレメント一つ取っても、10種類くらい揃えておけば国産車のほとんどの車種に利用できますが、輸入車の場合はそうはいきません。
大量に仕入れれば価格も下がりますが、使う機会が限られるので、大量に在庫している修理工場はほとんど無いでしょう。
年間の取り扱い実績などから、よく使う種類の部品を数個在庫しておけば十分です。
よく使う機会の多いオイルエレメントでも倍近い価格差が発生するので、それが特定の故障個所など部品の流通量が極端に少ない部品の場合は、価格差は何倍にも跳ね上がります。
(例えば上の写真はBMW MINIのエンジンルームですが、プラスチックのオイルフィラーキャップ一つで3,000円もします。)
設計思想の違い
それぞれの国で国民性や設計思想が異なります。
ドイツ車を例に挙げると、制限速度無制限のアウトバーンがあるドイツ車は、ブレーキの性能がとても良く、制動力がかなり高いのですが、その分ブレーキローターも「消耗品」と割り切っており、ブレーキパッド交換2回に1回はローターも交換しなければなりません。ドイツ車のブレーキダストが大量に発生するのもこの為です。
しかも、ブレーキパッドと共にブレーキパッドの残量センサーも新品交換しなければならず、ブレーキ周りだけで国産車とはかなりの価格差になります。
日本車だとブレーキローターを交換する事は皆無に等しく、数年に1度交換しなければならない設計にしていたら「粗悪品」と捉えられ、メーカーにクレームの嵐がやって来るでしょう。
ドイツ車は耐久性よりも絶対的な性能を重視、日本車は絶対的な性能よりも耐久性が重視されており、消耗品の範囲が異なってきます。
(BMW MINIのブレーキローター交換。ローターの淵を見比べると、ローターが削れてかなり薄くなっているのがよく分かります。)
(BMWブレーキパッド残量センサー。外すと写真のように必ず割れるので、新品交換しなければならない消耗品です。)
予防整備と保証の問題
日本車は日本の道路事情や気候、国民性を優先した車作りをしており、それは海外メーカーも同じです。
一昔前は日本の気候に合わず、電気系統や機械的なトラブルが続出し、走っている日より整備工場に入庫してる日の方が多いなんて事もありました。
そういったトラブルを未然に防ぐ為、現時点では不具合が出ていない部品でも、トラブルを予防する為に交換しておく事があります。
ディーラーでは予防整備をしている所が多く、頼んでもいないのに車検の度に冷却水のホースを全交換されたりするので、車検費用が20万円超えるなどザラにあります。
(80万請求されたというケースも)
また、日本の消費者は車検を通した車が数週間後に不具合が出た場合、クレーム修理で無料対応が基本だと考えます。
一般の整備工場や車検専門業者では、そういった場合に備えてあらかじめ基本料金を国産車の2倍、3倍に設定している所が大半です。
これらの事から、国産車と輸入車とではどうしても維持費が異なってきます。
特に旧型のミニクーパーなど、「かわいい」という理由だけで安易に購入すると、その後のメンテナンスで莫大な費用が発生する場合もありますので、よく考えてご検討ください。
当社では車検時に輸入車だからという理由だけで基本料金を倍にしたりはしていません。
その代わりお客様と十分なコミュニケーションを取り、交換しなくても車検には通るけど交換した方が良い部品とその値段をお伝えし、ご意向に沿うようにしています。
交換推奨部品を交換しなくていいと言われる場合の方が多いですが、故障した場合には実費修理になる事をご了解いただいています。
もちろん、ブレーキなど安全に関わる部品は交換するよう説得しますが、ご理解いただけない場合はお断りする事も稀にあります。
輸入車をお選びになる方は、デザインの違いや走行性能の違いなどにこだわりを持った車好きな方が大半です。
部品代など維持費が高くなることを十分考慮した上で、より良いカーライフを満喫してくださいね!
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